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雨のアジサイ街道  板取村一里保木 2002.6 岐阜方面から洞戸村を通り板取村に入るころから、雨の季節国道の道端には鮮やかな紫色が目につきます。ここから数キロにわたり紫陽花が植えられ日本の道百選にもアジサイロードとして選ばれています。毎年花の盛りの6月末(あるいは7月初め)、板取村の中ほどにある21世紀の森公園では盛大にアジサイ祭りが催されます。
紫陽花といえば京都に暮らしていた30年近く前、梅雨の合間の午前、京都駅から国鉄バスに乗り栂尾の高山寺へ出かけたことがありました。霧雨そぼ降る中、時折注ぐ日差しに境内の隅の紫陽花がぼおっと蛍光色の彩りを放ちました。なぜか参詣客はぼく一人。帰り、参道の坂道で一人の女の人と行き交いました。その女性が若かったか、どんな容貌だったか、今ではすっかり忘れてしまいましたがあのほの暗い境内の片隅で狐火のように妖しく浮かぶ紫色はよく憶えています。そういえば寺山修司の詩に好きなのがありました。
 
 夜の寂しい停車場で 人の別れを見ていたら
  ふぃにあなたが 恋しくて
     とうとうここまで やって来た
  あなた紫陽花 人の妻 僕は未練な 未練な雨だ

 あきらめ町の 忘れ駅  次に出るのが僕の汽車
  伝言板に書き残す 
      読まれるあての無い便り
  あなた紫陽花 人の妻 僕は今でも 今でも好きだ
陽炎に揺れる百日紅  洞戸村菅谷 保福寺にて 2002.8 真夏の乾いた風景にあって紅の彩りを放つこの花。その名の通り夏の初め7月から秋半ば10月にかけ花をつけています。
近年、道路端で見かけるようになったものの、お寺の境内には必ずといっていいほど植えられてる印象が強いですが・・・。    
そういえば田坂具隆監督の「五番町夕霧楼」(1963年作品)のワンシーン〜主人公夕子の故郷若狭の山ふところ、緑の中に鮮やかに百日紅が咲いていたっけ。   実家が貧しく京都西陣五番町の夕霧楼へ身売りされた夕子と幼なじみの修行僧との悲しい恋の物語。 そんなこともあってか盛夏を彩る花にしてはなんだか切なくなる花です。  いつも国道を通る時遠くに見える紅を初めて近くに来て見ました。このお寺の先代の住職、河口先生には30数年前、中一の時国語を習いました。いつもいたずらばかりして困らせたものでした。先生、ほんとにすいませんでした。 ・・・合掌。
川岸に映える彼岸花  美濃市立花 長良川河畔にて 2002.9
山間の丘に揺れるコスモスの花  下呂町にて 2002.10

桃の花と菜の花の競演  春日井市にて

2003.4

菜の花を見れば想い出すのが椎名誠の「菜の花物語」。この中で東京豊島区雑司ヶ谷の鬼子母神の話が出てきます。これはエッセイだったか?自分の母親を鬼子母神近くの病院へ見舞いに行くタクシーの中での夫婦の会話。鬼子母神の「鬼」という字には上の点はないのだと。この鬼(母親鬼)は里へ出ては子供をさらい食べていたのだけれど自分には千人の子供がいて、何かの時この千人の子の一人がいなくなった。一人だけいなくなっただけなのに深く嘆き悲しんだと。それ以来里に出て子供をさらうことはしなくなり、子供を守る鬼になったと、それでツノをとって、つまり漢字の上の点をとったと言う話。 東京にいた頃1〜2度行ったことがあったっけ。池袋、目白から歩いて15分ぐらいだったか、それほど広くない境内には大きな樹(楠だったか)があり都心の中にあっては何だかノスタルジックな空間で、この一説を思い出したもの。辺りに病院はないかと探しましたが確か「鬼子母神病院」てのがあったような・・・。この写真は仕事の帰り多治見から春日井を通る19号線沿いで見かけた風景。このあたりは桃畑も多くショッキングピンクと黄色のコントラストがとても目を引きました。「菜の花物語」の中で見舞った病床の母親は亡くなってしまったのか・・・。
このところ病院へ見舞いに行くことが多くなりました。そして相手は帰らぬこととなることが多くなりました。そんな時ふとこの鬼子母神の鬼の話を思い出します。

夢見るように咲く国道沿いのアメリカ芙蓉  洞戸菅谷にて
2003.7
和紙の里を望むのウルシ 天王山山頂(美濃市)にて 2003.11
神社の下、群生するシャカの花  洞戸尾倉 白山神社にて 2005.4 新しい市になって自治会組織が改たになりました。
その自治会役員に選ばれ最低月に一回は文書配付や告知のため
班を回ることになりました。健康のため必ず歩くようにしてます。
地区全体を歩いて回ると30分近く、汗ばむほどですが、これまで気が
付かなかった光景にささやかな感動を覚えるようになりました。
裏の道を歩くと氏神様である白山神社の境内の下、竹林の中に20センチ
ほどの可憐な花が群生してるのを発見。これまで季節が巡るたびに花を咲かせて
いたのでしょうが初めて見る花でした。
何という花だろうと調べると「シャカ」という名。野生に咲くランの一種のようでした。
花びらが実に繊細な風情で卓上に置いておきたい花でした。
緑の風に揺らぐひなげしの花  関市黒屋にて

2007.5
冬の名残の寒椿と春の訪れを告げるシデコブシ
            関市洞戸大野 薬師堂にて
2008.4
     
 
長良川堤に燃えて咲く彼岸花
             美濃市下渡橋詰

2010.9